2010年11月26日金曜日

オリエンテーション配布資料

6月14日 第1回(オリエンテーション)の際に配布された曽田先生による資料を合わせて投稿いたします。



2010/6/14曽田修司(2010/10/10補訂)
オリエンテーション

何を問題としたいのか

■所有、アート、社会
〈所有〉のあり方が社会をどのように規定しているかについては、J・ロック以来、多くの議論の蓄積がある
経済学、哲学、社会思想史、政治学、社会学、etc.

■アートと社会
近年、アートと社会の関係についても、多くのことが語られるようになった
ほとんどの場合、アートは財(人間が所有し、利用するもの)として語られている(文化経済学、アーツマネジメント、文化芸術の振興)

■〈所有〉とアート
〈所有〉とアートが結びつけて語られることもある。
だが、そのようなとき、アートはあまりに一面的かつ固定的なものとして(すでに出来上がったものとして/商品として/利用されるものとして/影響されるものとして)語られてはいないか

■アートの問い直し
アートというもののあり方への問い直しが必要なのではないか
「自己」も「権利」も実体ではなく関係性に立脚した概念であるなら、アートもまた、実体ではなく関係性としてとらえられるべきではないか
アートの幅はもっと広く、アートの概念はもっとずっと可変的である

■〈所有〉からアートと社会の関係を考える
個人に与えられたもの(所有)(=権利、能力、など)が世の中のすべてのことがらの基底をなす実体であるという世界観(社会観)をまずは再評価し、さらに、その価値を根本から問い直すことは、どのようにして、あるいは、どこまで可能か

◆アートと〈所有〉の問題系(1)
アート作品の私蔵処分(J・L・サックス「レンブラントでダーツ遊びとは」)
博物館、美術館、劇場等の作品の選定を誰がするのか(公共財または「公共選択」の問題)
税金の使い方(びわ湖ホール問題、橋下「大阪維新」)
公共財/価値財
著作権/コモンズ
排他的権利
オリジナリティ/作家性

◆アートと〈所有〉の問題系(2)
ボランティア/NPO
寄付税制
共同財
貨幣ではなく、個人の意思や価値観(の所有/共有)が前提とされている

◆アートと〈所有〉の問題系(3)
〈所有〉はあらゆるものに関わる
能力とは何か
権利/人格/アイデンティティ/自由/公正/正義/国家/権力/支配/秩序/法律/規範/合意形成/公共性
共同体/倫理/生き方/自由・平等・友愛(博愛)
資本主義/市場主義/市民主義
自己/他者/無意識
言語/身体

◆アートと〈所有〉の問題系(4)
生き方を考える
わたしたちとは誰か
社会が想定している価値とは何か、目指すべき価値とは何か

フローとストック/時間軸を入れる
エコシステムとしての文化論

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